多くの車が行き交う車社会において、車を安全に走行させるためには交通信号機の存在は欠かせません。そのため、道路を通行する際は、しっかりと信号機が表示する信号に従わなければなりません。
そこで今回は、信号機が示す信号の意味や違反した場合の罰則、信号機の種類についても解説していきます。
信号機の信号等に従うのは義務
道路を通行する歩行者や車両等は、原則として信号機が示す信号または警察官などによる手信号、その他の信号に従わなければなりません。これは「道路交通法 第7条(信号機の信号等に従う義務)」に定められており、従わない場合は違反の対象となります。
信号機の信号は、基本的に自分の前方にある信号を見るようにします。横の信号が赤であっても前方の信号が青であるとは限りません。
信号機の表示と警察官や交通巡視員が行う手信号等が異なっている場合、信号の表示ではななく、警察官や交通巡視員の手信号等に従わなければなりません。
信号の種類と意味
車両や歩行者が道路を通行する場合、信号機の信号などに従わなければなりません。そのため、それぞれ信号が示している意味を正確に知っておくことが重要です。
では、信号機が示す信号の種類と意味をそれぞれ解説していきますので、しっかりと確認しておきましょう。
青色の灯火
- 歩行者は、進行することができます。
- 自転車や荷車など軽車両以外の車、路面電車は「直進・左折・右折」することができます。また、二段階右折が指定されている場合の原動機付自転車に関しては、右折する地点まで直進し、その地点で向きを変えるところまでが許されています。
青色の灯火は「進め」ではありません。周囲の交通状況を確認し、あくまで「進むことができる」という意味です。
黄色の灯火
- 歩行者は、道路の横断を始めてはいけません。横断中に黄色になった場合は速やかに横断するか、もしくは横断を止めて引き返さなければなりません。
- 車両などは、停止位置を超えて進行してはいけません。ただし、停止位置に近づいたタイミングで信号が黄色に変わり、安全に停止することができない場合は、そのまま進むことができます。
- 急ブレーキをかけ、後続車に追突されてしまう恐れがある場合
- スリップしていまう恐れがある場合
- 同乗者に危険を与える場合
- その他、停止することによって危険が予測される場合
黄色の灯火の意味は、原則として「止まれ」です。
赤色の灯火
- 歩行者は、横断してはいけません。
- 車両等は、停止位置を超えて進行してはいけません。
- 交差点において、すでに左折している車両等は、そのまま進行することができます。
- 交差点において、すでに右折している車両等は、そのまま進行することができます。その際、青色の灯火によって進行することができるとされる車両の進行を妨げてはいけません。ただし、軽車両や二段階右折によって右折する原動機付自転車に関しては、右折方向の信号が赤のときは、その右折している地点で停止していなければなりません。
青色灯火の矢印
- 青色の灯火矢印が出ている場合、黄色灯火・赤色灯火の信号に関わらず、車両は矢印の方向に進行することができます。また、右折を示す矢印が表示されている場合は、右折または転回することができます。
- 軽車両や二段階右折によって右折する原動機付自転車に関しては、右向きの矢印が表示されても右折することはできません。
青色矢印のほか黄色矢印の信号があります。黄色の矢印信号は「路面電車」の進行を示すもので、路面電車は黄色の灯火や赤色の灯火でも矢印の方向に進むことができます。なお、歩行者や車両等は進むことはできません。
歩行者・自転車専用信号
人の形が表示されている信号は、原則として「歩行者・普通自転車」が対象です。なお、普通自転車の定義に関しては、下記で説明します。
- 歩行者は、横断することができます。
- 横断歩道を進行する普通自転車は、直進あるいは左折することができます。
- 普通自転車が右折する際は、右折する地点まで直進し、その地点で向きを変えることまでできます。
- 歩行者は、横断を始めてはいけません。
- 横断歩道を進行しようとする普通自転車は、横断を始めてはいけません。
- 横断中の歩行者は、速やかに横断を終えるか、横断を止めて引き返さなければなりません。
- 歩行者は、横断してはいけません。
- 横断歩道を進行しようとする普通自転車は、横断を始めてはいけません。
- 二輪または三輪の自転車であること。
- 長さ190㎝、幅60㎝を、それぞれ超えないこと。
- 側車(サイドカー)をつけていないこと。なお、補助車輪は側車に含まれません。
- 乗車装置がひとつであること。(幼児用座席は除く)
- 走行中、容易に操作できる位置にブレーキがあること。
- 鋭い突出部のないこと。
以上の要件にあった自転車で、なおかつ他の車両をけん引していない自転車を普通自転車といいます。なお、TSマークがついている自転車は、これらの要件を満たしています。
信号無視による反則金と違反点数
信号機の信号に従わなかった場合は信号無視ということで違反の対象です。なお、信号機の信号に従わなかった場合の反則金と違反点数については下記のとおりです。
自動車の種類 | 違反点数 | 反則金 |
---|---|---|
大型車 | 2点 | 12,000円 |
普通車 | 2点 | 9,000円 |
二輪車 | 2点 | 7,000円 |
原付車 | 2点 | 6,000円 |
酒気帯び(0.25未満)の場合、酒気帯び点数となり、違反点数は14点です。
自動車の種類 | 違反点数 | 反則金 |
---|---|---|
大型車 | 2点 | 9,000円 |
普通車 | 2点 | 7,000円 |
二輪車 | 2点 | 6,000円 |
原付車 | 2点 | 5,000円 |
酒気帯び(0.25未満)の場合、酒気帯び点数となり、違反点数は14点です。
【大型車】
大型自動車・中型自動車・準中型自動車・大型特殊自動車・トロリーバス・路面電車を指します。
【二輪車】
大型車自動二輪車・普通自動二輪車を指します。
【原付車】
小型特殊自動車・原動機付自転車を指します。
反則金の納付方法
信号無視をはじめ軽微な反則行為をした運転手は、警察官等から交通違反告知書(通称「青キップ」)と納付書が渡され、期間内に反則金を納付しなければなりません。
なお、反則金の納付期限に関しては、告知を受けたその日から8日以内。また、納付場所は「銀行・信用金庫・郵便局・簡易郵便局」です。納付期間内に反則金を納めれば手続きが完了し、刑事裁判や家庭裁判所の審判を受けることはありません。
期間内に納付しなかった場合
納付書に記載された納付期間内に反則金を納付できなかった場合、納付期限の過ぎた納付書は使用できません。その際、新たな納付書の発行が必要となりますので、各都道府県の交通反則告知センターへ出頭し、新しい納付書を発行してもらいます。
再発行された納付書の使用期限は、交付された日から11日以内です。それを過ぎても反則金を納付しなかった場合は刑事手続等へ移行されます。なお、住まいが遠方などの理由で通告センターに出頭できない人は、交通違反告知書(青キップ)が告知された日から約40日後に反則金相当額と送付費用を合わせた納付書が送付されてくるので、納付期限内に所定の金融機関で納付します。
まとめ
信号機の信号に従うことは道路を通行するうえでの義務です。信号の意味を正しく理解し、それに従うことで交通の安全が保たれ、多くの車が行き交う道路をスムーズに走行させることができるのです。
もちろん、信号を守るだけでなく、車を運転する際は常に心と時間にゆとりを持つことが大切です。なお、信号無視によって交通事故を起こした場合、基本的に過失割合が高くなるので注意が必要です。
- 【青色の灯火】進むことができる。
- 【黄色の灯火】基本的に進んではならない。
- 【赤色の灯火】進んではならない。
特に、黄色の灯火に対して「進め」と勘違いしている人も多く、黄色に変わった瞬間、加速して進行する人も多く見かけます。車同士がスムーズに行き交えるのも信号あってからこそのこと。そのため、信号の意味を正しく理解し、安全運転を心がけましょう。
画像出典元:phot ac
【常時左折可】
白地に青色の左向き矢印で書かれたこちらの標識板がある場合、前方の信号が赤や黄であっても左折することが可能です。歩行者やまわりの交通に注意しながら左折しましょう。