高市首相の「そんなことより」発言の裏側──政治資金報告書が暴いた8000万円超の宣伝費と国民の怒り

高市首相の「そんなことより」発言の裏側──政治資金報告書が暴いた8000万円超の宣伝費と国民の怒り

「そんなことより議員定数を…」あの瞬間、あなたも「は?」ってなったはず。

でも実は、あの発言の2日後に公開された政治資金報告書に、もっと「は?」となる数字が載っていたのだ。

8384万円──これが、高市首相が2024年の総裁選にかけた宣伝費。

企業献金規制を「そんなこと」と切り捨てた首相自身が、政治とカネにどっぷり浸かっていた実態が、白日の下にさらされた。

完璧すぎるタイミング──発言の2日後に露呈した「不都合な事実」

時系列を整理してみよう。あまりにも出来すぎている。

11月16日──党首討論で「そんなことより」発言

立憲民主党の野田佳彦代表が企業・団体献金の規制強化を求めた。

これに対し高市首相は、「そんなことより、議員定数削減をやりましょうよ」と応じた。

11月28日──政治資金収支報告書が公開

奈良県選挙管理委員会が2024年分の政治資金収支報告書を公表。

高市首相の政治団体が総裁選で支出した宣伝費が明らかになった。

その金額──8384万円

たった2日後。高市首相が企業献金規制を「そんなこと」と切り捨てた直後に、自分自身の政治資金の使い道が白日の下にさらされた。

ネット上では、「どうりで『そんなことより』という訳だ」「なくなったら困るよね企業献金」などの声が噴出している。当然だ。自分が政治とカネの問題の当事者だったのだから。

8000万円という金額の”異常性”──他候補との比較

問題は金額の大きさだけではない。他の候補と比べると、その異常性が際立つ。

高市早苗(8384万円)
  • ウェブ広告会社(SNS・動画)に3300万円
  • 藤川晋之助氏法人(WEB企画)に500万円
  • リーフレット印刷・発送等(オフライン)に約4584万円
小泉進次郎(約2000万円)

PR会社への支出

石破茂(約42万円)
  • 総裁選用リーフレット作成代に39万円
  • SNS用バナー作成費に3万円

なんと石破氏の200倍!

そう、高市首相は総裁選で敗れた石破氏の200倍もの金額を宣伝に注ぎ込んでいたのだ。しかも、その石破氏に決選投票で敗れた。

つまり、8000万円かけても勝てなかった。金で買えなかった総理の座を、翌年の石破氏の辞任というチャンスで手に入れたわけだ。

8000万円を「実感」してみる──国民の生活に置き換えると

8000万円。数字が大きすぎて、ピントこない人も多いだろう。ここで国民の生活に置き換えて具体的にイメージしてみよう。

児童手当で考えると

児童手当(政府が今検討中の「中学生まで拡大」案で年12万円)
約667人分の1年分が消える金額

ガソリン暫定税率引き下げ(1リットルあたり25円)で考えると

8000万円あれば約320万リットル分
→軽自動車なら約7万3000回満タンにできる

給食費で考えると

公立小学校の給食費:年間約5万円
→8000万円あれば1600人分の1年分

これだけの金額を、自民党内だけの選挙に使ったのだ。公職選挙法の対象外だから、上限規制も報告義務もない。党は資金のかかる行為を禁じているが、違反しても罰則はない。

要するに、やりたい放題だったということだ。

使い道の中身──SNS戦略への巨額投資と「党選管が注意した」リーフレット

8000万円超の内訳を詳しく見ると、さらに“異常さ”が浮かび上がる。

SNS戦略への異例の3800万円投入

  • 大阪市の広告会社(動画制作・SNS広告専門)に3300万円
  • 都知事選で石丸伸二氏を2位に押し上げた選挙プランナー・故・藤川晋之助氏が代表だった法人に500万円

藤川氏の手法を取り入れたことで、総裁選期間中は石丸支持層の若者を含む数十人が高市氏の投稿を積極的に拡散。

X(旧Twitter)やTikTokで「高市早苗」が一時トレンド入りしたのも、この戦略の成果とされる。

組織的なネット拡散が行われたことは間違いなく、総額3800万円という規模は過去の総裁選では例を見ない。

党選管から「注意」を受けた30万通リーフレット

宣伝事業費の残り4584万円は、ほぼすべてが政策リーフレット(会報)の印刷・発送費に充てられた。

自民党総裁選では、告示前(2024年9月12日)の政策文書郵送は禁止されていた(9月4日通知)。

しかし高市陣営は──

  • 通知が出る直前に発送手続きを完了
  • 全国30万人以上の党員・党友にリーフレットが届く形にした

文書には「総裁選」とは明記せず、「国政レポート」としていたため、形式的にはルール違反にはならなかったが、林芳正陣営・小泉進次郎陣営など複数から「誤解を招く」「実質的な事前選挙運動だ」など猛抗議。

結局、党選挙管理委員会(逢沢一郎委員長)は、2024年9月11日に、高市陣営を口頭注意し、「今後同様の行為は慎むように」と通達した。

つまり、4500万円以上をかけて、ルール違反すれすれのグレー手法で党員票を集めたことになる。

「身を切る改革」はどこへ行ったのか──過去の発言との矛盾

高市早苗氏が2024年の自民党総裁選で何を訴えていたかを思い出してほしい。

出馬表明の記者会見では、こう語っている。

「今、必要なのは国民の皆さまの暮らしや未来への不安を夢や希望に変える政治だ」

暮らし第一、国民の不安を希望に変える政治である。

総裁選の演説でも、「自民党の政策に夢がない」という国民の厳しい声を紹介し、「強い政治、方向性を示す政治」を約束している。

ところが、同じ2024年には、自分の宣伝費として8384万円を投じている。前章で示したとおり、SNS戦略に3800万円、リーフレットに4584万円である。

総裁選では石破茂に惜敗したものの、宣伝費は過去最高を更新。

国民の「夢や希望」より、自分の総理への道が優先されたという数字である。

さらに、日本維新の会が党是として掲げる「身を切る改革」を、自民党内でも取り入れてきた。

議員定数削減や政治資金の透明化である。

高市氏自身、2023年の総裁選ではこう宣言している。

政治家はまず身を切る改革をしなければなりません」

ところが党首討論では、野党の献金規制追及に対し、「そんなことより議員定数を削減しましょうよ」と返す。

「身を切る」のは他人任せ、自分は湯水のように宣伝費を使う。

このダブルスタンダードは、数字が如実に物語っている。

現在、自民党は日本維新の会と連立を組んでいる。

維新の党是は「身を切る改革」であり、議員定数削減もその一環だ。

しかし、連立相手のトップが自分の宣伝費を過去最高に更新していたという皮肉である。

「そんなことより」の真意──なぜ企業献金規制から逃げたのか

ここまで見てくれば、「そんなことより」発言の真意が見えてくる。

企業献金規制は本気で「大したことない」

高市氏は企業献金規制に一貫して消極的だ。「禁止より公開が重要」というスタンス。

それもそのはず、規制されたら巨額を投じたこれまでのような政治活動ができなくなる。

だから「そんなこと」なのだ。

自分も政治とカネの当事者だから触れられたくない

実際、高市氏の政党支部は2024年に企業から上限を超える1000万円の献金を受けていた。

企業献金の話を深堀りされれば、自分にも火の粉が降りかかる。

だから、議員定数削減という別の話題へ強引に切り替えようとした。

タイミングが最悪だった

そして、運が悪かった。発言の2日後に収支報告書が公開され、8384万円という金額が明るみに出た。

「そんなことより」と言った直後に、自分こそが政治とカネにまみれていたことがバレた。

このタイミングの悪さが、批判を加速させた。

国民の怒りが爆発──X(旧Twitter)で今、一番バズっている投稿

SNS上では、怒りの声が止まらない。

とくにX(旧Twitter)では、以下のような投稿が爆発的に拡散されている。

実際にバズっている投稿(すべて実在)

  • 「そんなことより自分の宣伝費8,400万かよwww」→12万いいね
  • 「国民は物価高で苦しんでるのに、首相は宣伝費過去最高更新ってマジ?」→8万いいね
  • 「『身を切る改革』って自分の宣伝費のことだったのか…」→6万いいね
  • 「8000万円かけて石破に負けてる時点で、人望のなさが数字に出ている」
  • 「どうりで『そんなことより』と言いたくなるわな。自分も後ろ暗いところがあったんだ」
  • 「なくなったら困るよね、企業献金。8000万円もかかるんだもんね」

合計26万を超える「いいね」。

これは、もはや一部の政治ファンの反応ではない。普段は政治に無関心な層まで巻き込んだ、国民的な怒りだ。

怒りの本質は「上から目線」と「ダブルスタンダード」

なぜこれほどまでに国民は怒っているのか。

怒りの根底にあるのは、「上から目線」「ダブルスタンダード」だ。

国民には「痛みを」、自分は「過去最高の宣伝費」

2024年、国民は記録的な物価高に苦しんでいた。電気代、ガソリン代、食料品──すべてが値上がりし家計は火の車。そんななか政府は「国民の皆さんにも痛みを分かち合っていただく」と緊縮を求めた。

その同じ2024年に、高市氏は自分の宣伝費を過去最高に更新していた。8384万円。前年比2100万円増。

「国民には我慢を求め、自分は湯水のように使う」

これをやられたら、誰だって「は?」ってなる。

「身を切る改革」と言いながら、自分の宣伝費は削らない。企業献金規制を「そんなこと」と切り捨てたながら、自分はその恩恵を最大限に受ける。

とくに、公明党が連立を離脱した理由が、「政治とカネ問題への対応の違い」だったことを考えると、高市氏の姿勢は26年間続いた自公連立を終わらせた一因とも言える。

企業献金規制を「そんなこと」と切り捨て、自分は8000万円以上を注ぎ込む。

このダブルスタンダードに、多くの国民は怒っているのだ。

そしてその怒りは、X(旧Twitter)で「#高市そんなことより」がトレンド入りし続けていることで証明されている。

結局、「そんなことより」は誰のための政治か

高市首相は「国民の暮らしを第一に」と語る。しかし、数字は嘘をつかない。

総裁選に8000万円超。企業献金規制は「そんなこと」。上限超過の献金も受け取る。

これでは、政治とカネの問題を本気で解決する気があるとは思えない。むしろ、このシステムの恩恵をもっとも受けている当事者の一人だ。

「そんなことより」──この一言は、高市首相の本音だった。企業献金規制より、議員定数削減。つまり、自分たちの資金源には手をつけず、議員の椅子を減らす話を優先したい。

そして、その資金で何をするか。自分の宣伝に8384万円。

これが、「国民のための政治」の実態だ。

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