10月31日、与野党6党がガソリン税の暫定税率廃止で合意。
この結果を、立憲民主党は「野党連携の成果」と位置づけています。
焦点となったのは廃止時期です。
自民党は、給油所の準備期間を理由に年明けの廃止を提案しましたが、国民民主党が他の野党と足並みをそろえて年内廃止を主張。
最終的に、自民が折れる形で決着しました。
立憲の重徳和彦税調会長は、「国民民主の案をそのまま受け入れて法案としている。国民民主には敬意を持って接している」と、国民民主を持ち上げました。
この展開に、立憲は大きな可能性を見い出しています。
一時は自民との連立入りも取り沙汰された国民民主が、野党側で結束したことの意味は大きいです。
立憲幹部は「連立はまだグラグラしている。野党が一枚岩なら自民は野党の言うことを聞くだろう」と、自信を示しています。
立憲民主党が描く「199議席」の野党連携
立憲の戦略は、国民民主だけでなく公明党も巻き込んだ野党連携の構築です。
立憲、国民民主、公明の衆院議席数を合計すると199議席。
少数与党となった自民・維新連立(計224議席)に対し、政策実現に向けて強力な圧力をかけられる勢力となります。
とくに、公明党との連携に立憲は期待をかけています。
両党はともに中道路線を掲げており、野田佳彦代表は「政策的にも親和性を持っている。緊密な連携を図りたい」と強調。
実際、公明の斉藤鉄夫代表が高市早苗首相の所信表明演説を「独裁ではないか」と批判するなど、野党色を強めています。
さらに立憲は、公明を国民民主との「橋渡し役」としても活用したい考えです。
国民民主と公明は企業・団体献金の規制強化法案を臨時国会に共同提出する予定で、すでに協力関係を築いています。
立憲ベテラン議員は「公明を間に挟めば(国民民主と)連携しやすい」と戦略を語っています。
視野に入る選挙協力
立憲の思惑は、政策連携にとどまりません。将来的な選挙協力も見据えています。
公明の西田実仁幹事長がテレビ番組で、国政選挙で立憲候補を推薦する可能性について「人物本位だからあり得る」と発言したことに、立憲は敏感に反応。
立憲中堅議員は、「(選挙協力を)考えないわけがない」と期待を込めています。
自民も国民民主取り込みに躍起
一方、自民党も黙って見ているわけではありません。野党の分断と国民民主の取り込みを目指しています。
10月31日の幹事長会談で、自民と国民民主は維新、公明を加えた4党で「年収の壁」などについて協議する方針で一致。
政府高官は「自維だけでは過半数に届かない中、国民民主の存在はありがたい」と本音を漏らしています。
自民にとって、国民民主を政策面で取り込むことは、立憲主導の野党連携を阻止し、安定した政権運営を確保する上で不可欠です。
まとめ
今回のガソリン税廃止合意は、単なる税制の話ではありません。
その裏で繰り広げられているのは、少数与党時代における政治的主導権の争奪戦です。
立憲は野党連携による「包囲網」で政策実現力を高め、将来的な政権交代の土台を築こうとしています。
一方の自民は、国民民主を引き留めることで野党の分断を図り、政権基盤の強化を目指しています。
国民民主と公明という「中道」勢力をめぐる綱引きが、今後の政局を大きく左右することになりそうです。










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